私は30代で自転車を再開したとき、最初から旅行用自転車に乗ったわけではなかった。たまたま静岡県西部の山の中にある春野町というところで行なわれたあるイベントのお手伝いのおりに、MTBで、犬居という地区を訪れた。そこは5分もあれば自転車で通り抜けられてしまうほどの集落だが、かつては火防の神、秋葉神社へ通う街道のそれこそ最終ゲートというべき地点であった。春の日だった。イベントをMTBで抜け出してきた私は、街道筋に出たところで、自動販売機で飲料を買ってひと休みしようとした。
[参考サイトのご紹介]
松之山温泉の温泉・露天風呂のある宿・ホテル - じゃらん温泉ガイド
http://www.jalan.net/onsen/OSN_50213.html
大津プリンスホテル - じゃらんnet
http://www.jalan.net/yad373565/
ホテルピースアイランド宮古島 - じゃらんnet
http://www.jalan.net/yad304294/
そのほんの数分のあいだに、もはやほとんど昔日の面影をとどめてはいない道筋ではあっだけれど、確かにその界隈に、人を否応なしに旅へと誘うような、強い求心力を感じたのである。旅のオーラがそこに満ちていたと言ってもいい。そうして数力月のちに、私は再生した古いランドナーで、宿泊サイクリングを再開していたのだった。今思うと、どうもそれはあの山峡の小さな町の術中に、見事に虜になったという感じがする。私は思うのだけれど、古い街道には、そこを旅した人びとの、今は地上から消え去った人びとの、さまざまな思いや行ないの残照が、さながらそうした通りを行く祭りの日の神輿や松明の揺曳のように、今も人知れず息づいているような気がしてならない。そしてそれは、古人と同じように自らの身体で旅をする人にのみ、語りかけてくるのだ。