頑張れリーマンブログ

魔法の入れ歯・MTコネクター第1号が誕生した瞬間

2011年01月21日

できたその場でスルメがかじれるMTコネクターは、一朝一タにできたものではない。先生が30年近く入れ歯づくりに携わってきた中で、苦労を重ねて開発されている。MTコネクターを開発するまで、先生も普通の入れ歯をつくっていた。と言っても、他の技工士とは違う方法で入れ歯づくりに当たっていた。普通の技工士は、直接患者さんとコンタクトを取ることはない。普通の技工士は、歯科医から送られてくる指示書と模型だけで入れ歯をつくる。「患者さんの口の状態が分がらなければ、ピッタリ合う入れ歯はつくれません。私は、直接患者さんの悩みを聞き、その場で製作し、患者さんの口にピッタリ合う入れ歯をつくろうとしてきました。歯科クリニックと技工所を一体化させたのもそのためでした」そうした新しい形の歯科クリニック、逆から見れば新しい形の技工所ということになるが、先述したようにスタートは平成12年のことだった。歯科クリニックと技工所を一体化させたシステムでつくられる入れ歯……。これこそ、「オーダーメイドの入れ歯」と言える。このオーダーメイドの入れ歯は患者さんの口にピッタリ合い、よく噛め、痛くもない。機能的に満足のいく入れ歯ができるようになると、先生には審美性が気になり始めた。部分入れ歯のバネやバー、床が気になってきたのである。「もちろん、以前から審美性には配慮し、歯や歯並びが自然に見えるような入れ歯づくりをしてきました。しかし、『バネを目立だなくしてほしい』という要望、つまり審美性への要求がさらに高くなってきたのです。歯に引っかけるバネは金属製ですから、口を開けると、どうしても外から光って見えます。これが見えるとひと目で入れ歯と分かってしまい、若い患者さんは嫌うのです」そこで、先生はバネが目立たなくする工夫を始める。表から見えないように奥歯にかけたり、唇に隠れるところにかけたり、形を変えたりもした。その試行錯誤の中で、一人の女性の入れ歯が大きな転機となった。この女性は下の左奥歯3本がなかったが、「自然に見える入れ歯」が強い希望だった。従来の部分入れ歯では、隣の歯(第1小臼歯)と反対側の歯に2ヶ所のバネが必要だった。入れ歯部分と反対側のバネは、バーで結ばれる。これだと第1小臼歯にかけたバネが外から見えるうえ、バーが舌に当たる。工夫の末に先生がつくった部分入れ歯は、第1小臼歯の後ろと、入れ歯部分の歯ぐきの裏に橋を渡すように金属をかけたものだった。入れ歯を支えているのは、隣の第1小臼歯だけだ。これがMTコネクター1号が誕生した瞬間である。「もっときれいに、もっと自然に」という患者さんの要望に応える努力を重ねるうち、バネもバーもない入れ歯が誕生した。それは口にパチンとはまり、食事をしても、話をしても、大きな声で笑っても落ちない「夢の入れ歯」が誕生した瞬間だった。